社長ブログ
今昔物語(建築編)
サスティナブルな建築は大昔から実現されていた!

これは「指図板(さしずいた)」と呼ばれる、大昔の設計図です。
「たったこれだけ」と言いたいところですが、実際にはもう一つ、「尺杖(しゃくづえ)」と呼ばれる基準の杖が必要でした。
この尺杖には、高さや幅の基準となる寸法が記されており、
「2間は何尺か」「1.5間は何尺か」「桁の高さ(天平)」「建具の内法」など、建物を構成するための重要な寸法がすべて刻まれていました。
そもそも「1間」とは“間の長さ”を意味し、地域や建物によって異なっていたため、統一された基準はありませんでした。
そのため、この尺杖が非常に重要な役割を担っていたのです。
当時は、大工の棟梁が施主と打ち合わせを行い、この指図板に間取りを書き込みながら計画をまとめ、そのまま建築へと進んでいました。
弟子たちは「墨差し」と「指金」を使って図を写し取り、それを自分の頭の中に叩き込んでいったのです。
尺杖は一寸角、長さ20尺(約6mや4m)ほどの材で、四面すべてに寸法が記されていました。
一方で、関東間は1間=6尺と定められていたため、関西間に比べて合理的で分かりやすいものでした。
この違いが最も表れるのが畳の寸法です。
関西間では、畳はどの部屋にも使い回すことができました。
客間から座敷へ、座敷から寝間へと役割を変えながら使われ、住まいの中で循環していきます。
つまり、家の寸法そのものが畳を基準として成り立っていたのです。
言い換えれば、畳はすでに“サステナブル”な存在でした。
また、当時の住まいには「人が家に合わせる」という考え方がありました。
現代のように「家を人に合わせる」のではなく、人生の段階に応じて住む場所を変えていくのです。
①若い頃の部屋
②世帯主としての部屋
③老後の部屋
このように、家の中で移り住むことで、一つの住まいを何世代にもわたって使い続けることが可能でした。
これは非常に合理的で、現代で言う「サステナブルな暮らし」をすでに実現していたと言えます。
さらに、指図板だけで建築が成り立っていたのは、明確なルールが存在していたからです。
大工や左官といった職人たちがそのルールを共有していたことで、長年変わらぬ体系として受け継がれてきました。
そのため、古民家のリノベーションでは寸法に規則性があり、図面も比較的起こしやすく、構造も予測しやすい。
安心して工事に着手できる理由は、ここにあります。
持続可能な社会は、実は建築の世界ではすでに過去に実現されていました。
決して、今になって生まれた考えではありません。
かつての住まいは、スクラップ&ビルドではなかったのです。
今こそ「温故知新」。
過去に学び、今に活かすことが、これからの住まいづくりにおいて極めて重要だと感じます。
なお、この建物自体も、かつて移築されたものでした。
まさに再利用の思想が息づく建物でした。
